遅くやってきたランナーのつぶやき


社長のひとり言
by aiclean_hitokoto
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かあさんの下駄

ラジオ東京 大沢悠里のゆうゆうワイド で紹介されていました

涙なしで歌詞を読めません  
かあさんの下駄_f0081486_14484695.jpg









かあさんの下駄   詩・曲 中村ブン


 世界中で一番きらいなものは かあさんの怒った顔
 世界中で一番うれしいのは かあさんの笑った顔
 世界中で一番つらいのは かあさんの泣いた顔

 隣のおばさんと出かける時も 父兄会で学校へ行く時も
 かあさんはいつもすりへった男ものの下駄をはいて行った
 「これしかないんだから仕方ない」って
 大きな声で笑ってたけど
 ぼくにはどうしてもかあさんのように
 笑うことができなかった

 新聞紙に包んだ新しい下駄を 両手にかかえて息をきらして
 「ただいま」ってえばって戸を開けたら かあさんは今日も内職してた
 「かあさんこれ・・・」って包みを渡したら
 「何だい」って少し頭をかしげた
 「いいから早く開けてみてよ ぼくのプレゼントだよ」

 包みを開けるとかあさんは こわい顔してぼくに言った
 「お前これどうしたの この下駄どこからもって来たの
 いくら貧乏してても人様の物に
 手をかけるような子に育てたおぼえはないよ
 情けない・・・」って ふるえながら 下駄とぼくをにらんでた

 「違うよかあさんぼく買ったんだよ」
 「嘘をつきなさい お前に どうしてそんなお金があるの
 小遣いだってあげたことないのに」
 「弁当代ってもらう中から毎日五円づつためてたんだよ
 タコ糸に通してずっと前から ためてたんだよ」

 「赤い鼻緒の下駄を買いたくて かあさんをびっくりさせたくて
 内緒にしていただけなんだ 悪いことなんかぼくしてないよ」
 下駄を包んだ新聞紙の上に 大きなしずくがボトボト落ちた
 「悪かったね」って言って子供のぼくに 何度も何度も頭を下げた
 「すまなかったね」って も一度言ってあとは言葉にならなかった

 ぼくが初めて 生まれて初めてかあさんの涙を見たのは
 それは小学六年生の冬

by aiclean_hitokoto | 2008-09-12 14:41 | 読書&映画,舞台など
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